秦基博の凄さ~ノスタルジックな切なさ
僕が秦基博のファンになってからもう何年もたつ。
僕は、その声と世界感に魅了された。
今や彼はメジャーになり、「鱗」、「アイ」、「ひまわりの約束」などの名曲は多くの人から愛されている。
ここ数年でいうと「アイ」は「愛を信じなかった人物が、愛する人に出会って初めて愛を知る」という一図で純粋な愛を歌った名曲だ。
爆発的ヒットとなった「ひまわりの約束」は、映画「STAND BY ME ドラえもん」の主題歌であり、献身的で純粋な友情を歌った名曲だ。
この頃から彼を知った多くの人たちは、「愛」や「友情」といった「人が本来持つ純粋な感情」をリアルに歌った「優しい切なさ」にあふれた歌詞と歌声を支持しているんだろう。
無機質な毎日の中で、彼の歌は虚栄や嫉妬や打算からは無縁な純粋な気持ちが人間にはあることを思い出させてくれる。
心に疲れをため込んだ我々は彼の歌を聴いて自然と涙する。
もちろん僕は彼のそんな歌も大好きだ。
でも、僕が彼の歌で一番好きなところは「ノスタルジックな風景に引き込んで、切ない気持ちに浸らせてくれる」ところだ。
彼の歌を聴いているとあたかも自分にそんな過去があったかのように、歌の世界に入り込む。
そして、リアルに蘇ってくる切ない気持ちは昔本当に自分が感じていたものだ。
「僕らをつなぐもの」「やわらかな朝に遅い朝食を」などはそういったノスタルジックな世界に浸らせてくれる僕の大好きな歌だ。
僕があまりに好きなせいか、「僕らをつなぐもの」は出だしのワンフレーズから、「やわらかな朝に遅い朝食は」にいたってはイントロから曲の世界にどっぷり入りきってしまう。
彼の一番の魅力は何と言ってもその歌声であろう。
彼の歌声はかすれていて、良質な弦楽器のような響きを持っている。
ささやくような低音は大人なら誰でも持っている心の傷に響いてくる。
叫ぶような高音は切なく胸を締め付ける。
繊細で美しいファルセットは聴いている者を歌詞の世界に引き込んでいく。
ストレスでいっぱいの日常に押しつぶされそうな毎日、
たまの休みは昼近くまでたっぷり寝た後、
車で少し遠くの喫茶店までうまいコーヒーを飲みに行くといい。
秦基博を聴きながら。